豪州と日本のはざまで小児集中治療を学ぶ

日本から豪州に渡ったPICUフェローである管理人が小児集中治療に関連するあれこれを勝手につぶやいているブログです。

なぜ”平均”血圧を指標にするのか?

おそらく多くに救急外来や病棟では、収縮期血圧を指標に血圧の測定と評価がされているのではないかと思いますが、 ICUにおいては、PICUも例外ではなく、平均動脈血圧Mean Arterial Pressureが主な指標にされていることが多いと思います。 その理由について、…

【論文】Goal of Careにおける会話スキル

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0025619620301506 昨今になりGoal of Careという言葉のほうをよく見かけるようになりました。 https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMcpc2002419 https://www2.health.vic.gov.au/hospitals-an…

オーストラリアで医師として働く方法

今回はときどき質問をうける事項に対しての返答をまとめてみました。 オーストラリアでの臨床はアメリカと比べるとマイナーではありますが、 確立したトレーニングプログラム 待遇のよさ 治安のよさ 外国人の受け入れの多さ 等々からすると、一考する価値は…

症例問題 2 TGA-IVS

1, Transposition of the great arteries and intact ventricular septum (TGA-IVS)に対する重度低酸素に対して酸素化を改善するための方法を段階的に記載してください。 2, Balloon atrial septostomy(BAS)をPICUで行うにあたっての留意点を語ってくださ…

臨床に必要な英語力~IELTS 7.0の向こうにあるもの

きたー、ありがちなタイトル 私はいわゆる純ドメです。 生まれてこの方教育はすべて日本語で修了し、 仕事もすべて日本語でやっていました。 学生時代はまさか自分が日本の外で臨床するなんて夢にも思っていなかったので、 臨床研修が修了し、 後期研修が終…

PICUの回診ってどんな感じ? Part 2

前回は一般的な回診のスタイルと回診の質向上のための要素を書きました。 では実際どのような感じでここ豪州では回診しているのでしょうか? 平日日勤帯を例にして書いていきたいと思います。 前回かいた通り、回診はすべてベッドサイド回診のスタイルで行わ…

PICUの回診ってどんな感じ? Part 1

「あなたのユニットはどのように回診していますか?」 カルテ回診、ベッドサイド回診、 患者のプレゼンを医師がする、担当看護師がする、 薬剤師がいる、理学療法士がいる、 他科も混じる etcetc... 回診のスタイルってユニットによってそれぞれですよね。 …

膿胸Empyemaの問題解説

膿胸について 「なぜ膿胸?」 実は日本で診療している10年間、小児の膿胸というのはほとんど記憶にありません。 ただ、オーストラリアにきてからやたらと膿胸に対して胸腔ドレーンいれることが多く、 この件を取り上げてみました。 (あとは初回の問題にする…

HFOは死なない

当院で使用しているOscillator/ HFOV ・・・「死なない」っていうと大げさかもしれません。。 「まだ死んでない」くらいがいいのかなあ。 今回の記事では、 HFOV high frequency oscillatory ventilation、高頻度振動換気法について書いてます。 オーストラ…

豪州PICUでの診療体制

(写真:アフロ) 「オーストラリアで働くってどんな感じ?」 正直なところ診療体制といっても、その施設でまちまちなので一般化はできないと自覚しておりますが、 あくまでひとつの形と共通言語として記録しておきたいと思います。 私が勤務するPICUでは、…

PICU医が参考にできるPodcast Part 1

完全に聞き取るのは未だに難しいですが、 参考になりますので、通勤時によく聴いてます。 小児に限ったものになると、 かなり限られてしまうので成人救急や成人ICUのネタも多いですね。 ①Pediheart: Pediatric Cardiology TodayRobert Pass https://podcasts…

症例問題 1 膿胸

生来健康、予防接種はアップデートされている4歳女児。5日間の咳嗽、発熱、増悪する呼吸困難で救急外来受診。診察所見:体温38.5度、呼吸回数40回/分、軽度呼吸努力上昇、心拍数150/min、血圧78/33 (55)SpO2 92% in room air, 96% 2L/min鼻酸素胸部レントゲ…

脳死は人の"生物学的"死か?

https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2765666 今月のJAMAから。Boston Childrenからです。 要は、臨床家は脳死と生物学的死を同一に「死」と扱うことがあるけど、 脳死というのは生物学的死とは違って、道徳的なものであって、 脳死の診断・…

臨床家は川崎病類似のCOVID19関連炎症症候群についてなにを知っておくべきか?~SCCMからのMIS-Cについて

SCCMから下記の記事が更新されました。 https://www.sccm.org/Blog/May-2020/What-Critical-Care-Clinicians-Need-to-Know-Today-A?utm_source=5-22-2020%20COVID%20Update&utm_medium=Email&utm_campaign=COVID-19%20Emails&_zs=o8psf1&_zl=X3Co6 要点とし…

私は何者なのか~初めての方はこちらへ

ああ、きれいなメルボルンの夜景よ 世の中ではコロナウイルスが猛威をふるい、こどもが家内にスタックし、もんもんとした日々を送りながら、ブログ開設にいたるという。 私は卒後10年を超えた、小児集中治療科医です。 Pediatrics小児科学のICU版なのでPICU…