豪州と日本のはざまで小児集中治療を学ぶ

日本から豪州に渡ったPICUフェローである管理人が小児集中治療に関連するあれこれを勝手につぶやいているブログです。

脳死は人の"生物学的"死か?

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https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2765666

 

 今月のJAMAから。Boston Childrenからです。

要は、臨床家は脳死と生物学的死を同一に「死」と扱うことがあるけど、

脳死というのは生物学的死とは違って、道徳的なものであって、

脳死の診断・科学については安全に信頼できるものにしていかなければならん、

という内容。

 

欧米と日本の終末期については、

「文化の違い」

とよく言われることが多いけれど、

個人的にオーストラリアに来てから思うのは、

「日本は死についての議論が未成熟である」

ということ。

 

もちろん、その「死についての言及を避ける」というのが「文化」である、

といえば、文化の違いになってしまうけれど。

 

ともあれ、これよんでの印象は、

一周回って日本的なところにいるような感じで、

「脳死と生物学的死についての違いの理解を再度促し、その上で進んでいきましょう」って

ついに周回遅れになってしまった感はある。

たぶん、一部の日本の(特に)小児科医は、

これよんでもなにいっているかよくわからない。

 

でも日本の終末期もだいぶ変わってきている。

理論は進んでいる。https://www.jsicm.org/pdf/1guidelines1410.pdf

あとはそれを実践できるかっていうところ。

教育も含め、包括的に進んでいかないと、全体は前に進まない。

 

焦らず、ひとつひとつ、ひとの人生というものに対して

真摯に向かう姿勢をよりよくしていきたい。