豪州と日本のはざまで小児集中治療を学ぶ

日本から豪州に渡ったPICUフェローである管理人が小児集中治療に関連するあれこれを勝手につぶやいているブログです。

PICUの回診ってどんな感じ? Part 2

前回は一般的な回診のスタイルと回診の質向上のための要素を書きました。

 

では実際どのような感じでここ豪州では回診しているのでしょうか?

平日日勤帯を例にして書いていきたいと思います。

 

前回かいた通り、回診はすべてベッドサイド回診のスタイルで行われます。

 

朝の申し送り後、

看護師のその日のトップに、

  • 空き病床がいくつあるか
  • オペが何件あるか
  • 何人退床する予定か

を確認します。

また搬送予定や他院で胎児診断がついているベビーの出生予定もある程度ここで確認します。*1

 

 

それからいざ回診を始めるのですが、

まずは回診の順番を決めます

たいてい、

  1. 重症・不安定ですぐにみておきたい患者
  2. 閉胸や抜管など重要なステップの判断が必要な患者
  3. 退室予定患者
  4. 新規患者
  5. その他

という順番になることが多いです。

 

当科は全個室なので、各患者の部屋を訪れ、

まずレジストラー(日本でいうフェロー)が、患者のショートサマリーをいい、

その後担当看護師

  • 過去12-24時間でのイベント
  • head to toeのシステム

をプレゼンします。

家族がいて必要ならばここで病歴の確認をします。

それを聞いたあと、

  • 診察
  • 検査結果の確認
  • 薬剤の確認
  • 他チームのカルテ記載確認
  • チェックリストの確認(当ユニットではFASTHUGS IN BED Pleaseを使用)

します。

そして、今日のプランと目標をカルテに記載します。

その後、できる限り
教育的なポイントに対するコメントや、ベッドサイドティーチング*2を行い、

チームにやり残しや質問がないかを確認、

最後に必要に応じて家族に説明して終了です。

 

 

もちろん重症度によりますが、だいたい1例につき10-20分

計2時間~2時間半くらいで終了することがほとんどです。

 

お昼前に終わるのが理想です。ときどき夕方までかかっていることがあります

回診が終わったら(ときには終わる前から)コンサルタントかフェローが、

コーヒーの注文をとって院内カフェでコーヒーを買ってきて、

飲みながら今日のプランを座って確認する、

というのがルーチンです。

 

 いかにみんなが満足しながら回診を行えるか、というのは、

その回診を指揮しているコンサルタントやフェローの力量のひとつだと思っています。

 

このひとと回診したい!

 

って思われるようになりたいもんですな

 

 

 

 

 

 

*1:少し不思議に思うかもしれませんが、

当こども病院では出産分娩は行っておらず、となりの総合病院で併設されたwomen's Hospitalで出生したベビーを搬送チームが搬送するというシステムをとっています。

出生前診断をついていたとしても、です。

これは賛否両論あるかもしれません。

 

個人的には、
お産で必要可能性がある輸血量、母体重症化した際の搬送困難を考慮すると、

施設が小児と成人総合病院で分かれている場合は、

致し方ないかなと思っています。

 

そのぶん当院では搬送システムとそのスキルが確立されています。

*2:

個人的にはベッドサイド回診のほうが好き、というのは前回述べましたが、

このベッドサイドティーチングのしやすさが一つの理由です。