豪州と日本のはざまで小児集中治療を学ぶ

日本から豪州に渡ったPICUフェローである管理人が小児集中治療に関連するあれこれを勝手につぶやいているブログです。

2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

膿胸Empyemaの問題解説

膿胸について 「なぜ膿胸?」 実は日本で診療している10年間、小児の膿胸というのはほとんど記憶にありません。 ただ、オーストラリアにきてからやたらと膿胸に対して胸腔ドレーンいれることが多く、 この件を取り上げてみました。 (あとは初回の問題にする…

HFOは死なない

当院で使用しているOscillator/ HFOV ・・・「死なない」っていうと大げさかもしれません。。 「まだ死んでない」くらいがいいのかなあ。 今回の記事では、 HFOV high frequency oscillatory ventilation、高頻度振動換気法について書いてます。 オーストラ…

豪州PICUでの診療体制

(写真:アフロ) 「オーストラリアで働くってどんな感じ?」 正直なところ診療体制といっても、その施設でまちまちなので一般化はできないと自覚しておりますが、 あくまでひとつの形と共通言語として記録しておきたいと思います。 私が勤務するPICUでは、…

PICU医が参考にできるPodcast Part 1

完全に聞き取るのは未だに難しいですが、 参考になりますので、通勤時によく聴いてます。 小児に限ったものになると、 かなり限られてしまうので成人救急や成人ICUのネタも多いですね。 ①Pediheart: Pediatric Cardiology TodayRobert Pass https://podcasts…

症例問題 1 膿胸

生来健康、予防接種はアップデートされている4歳女児。5日間の咳嗽、発熱、増悪する呼吸困難で救急外来受診。診察所見:体温38.5度、呼吸回数40回/分、軽度呼吸努力上昇、心拍数150/min、血圧78/33 (55)SpO2 92% in room air, 96% 2L/min鼻酸素胸部レントゲ…

脳死は人の"生物学的"死か?

https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2765666 今月のJAMAから。Boston Childrenからです。 要は、臨床家は脳死と生物学的死を同一に「死」と扱うことがあるけど、 脳死というのは生物学的死とは違って、道徳的なものであって、 脳死の診断・…

臨床家は川崎病類似のCOVID19関連炎症症候群についてなにを知っておくべきか?~SCCMからのMIS-Cについて

SCCMから下記の記事が更新されました。 https://www.sccm.org/Blog/May-2020/What-Critical-Care-Clinicians-Need-to-Know-Today-A?utm_source=5-22-2020%20COVID%20Update&utm_medium=Email&utm_campaign=COVID-19%20Emails&_zs=o8psf1&_zl=X3Co6 要点とし…

私は何者なのか~初めての方はこちらへ

ああ、きれいなメルボルンの夜景よ 世の中ではコロナウイルスが猛威をふるい、こどもが家内にスタックし、もんもんとした日々を送りながら、ブログ開設にいたるという。 私は卒後10年を超えた、小児集中治療科医です。 Pediatrics小児科学のICU版なのでPICU…