成人には通らない話が小児には存在する。
おそらく最初に挙がるのはHFOV。
これは成人ではみない。
小児ではまだ呼吸不全に対する選択肢のひとつだし、先日のeditorialでもあったように、たぶんHFVOを試すまではVV-ECMOに対して「saying no」なんだろう。
そしてもう一つがこれ、敗血症に対するECMO。
Critical Careからシステマティックレビュー。
そもそもが敗血症の病態生理学的なところで新生児と成人では圧倒的にことなり、
年長小児や成人ではvasoplegic shockが高頻度で起こるのに対し新生児・小児ではその頻度が異なるので、
ECMOにしたときのいわゆるフローと取れやすさが全く違う。
まあそれでも小児でもフローが十分とれないので、
カニューレ戦略をcentralにして、フローをめいっぱいとって、救命していくというのがこちらの戦略。
今回のメタアナリシスではPrimary outcomeに対して13文献がレビューされて全体で59%の生存率、新生児では73%。
さらに上記のとおりcentralにしてHigh flow(>150mL/kg/min)をとることでさらに生存率はあがりそうだというところ。
実際に、敗血症のECMOに対しては、末梢のカニュレーションでECMO搬送されてきた症例をわざわざcentralに変えてまで救命率を上げに行く施設もあるので、まだまだ未開なところはあるとは言えど、成人と異なる部分で小児が研究を深めていける分野ではあるんだろうなあ。
正直、普通に小児科のトレーニングをやっていたときとか、
「敗血症性ショック」
って言葉は何回もきいて、勉強したけど、
本物は3年で1つしか見たことなかったなあ。 (しかも苦い思い出になってしもうた)
そして話は変わりますが、現在出向(?)先の成人ICUは立派なECMOセンターなんですが、
基本的に敗血症に対するECMOはなし、です。
これはやっぱりECMOが回らんということで救命できんみたいです。
めちゃくちゃ積極的にECMOするんですけどね、
それでも疾患群としてあきらめたっていうのは、よっぽどなんでしょうね
以上