豪州と日本のはざまで小児集中治療を学ぶ

日本から豪州に渡ったPICUフェローである管理人が小児集中治療に関連するあれこれを勝手につぶやいているブログです。

【豪州臨床】専門医なし、general registration なしで臨床を4年以上やる方法。AMC MCQ対策含

12ヶ月の成人ICUを終えて、小児病院のICUに戻りました。

自分は2018年8月にオーストラリアで臨床を開始、2年を小児ICU過ごし、

2020年8月から成人ICUで臨床をする機会をもらいました。

計三年を経て、再度もともといた小児病院のPICUで働く機会をいただき豪州臨床4年目になります。

 

 

オーストラリア臨床4年目を迎えるまでの道のり

現在の職場から出て「戻ってきた」という表現にはなりますが、

これに至るには色々と障壁がありました。

 

障壁1:自分は正規のオーストラリアのトレーニーでない

これはオーストラリアでの正規のライセンスを持っていないので、
どれだけ長い期間働いてもこちらの専門医等には寄与しないということです。


また雇用側は外国人ビザのスポンサーになる必要があるので、

雇用することでのメリットはないことだけでなく、
スポンサーとしてその費用を負担しなければならないということがあり、
地のトレーニーと比較した場合に外国人を採用する理由はよっぽどでない限りないので、
就職活動は困難を極めます。

実力は関係なく、運とコネ、この二つが全てを決めます。

 

自分の場合、成人ICU臨床の機会をオーストラリアで求めて、いくつか就職活動をして、
いろんな理由で断られて、

 

あーもう帰国するかー

 

ってなっていた2020年の6月頃に

 

たまたま、

成人ICUに空きが出て、そこに小児ICU側からの推薦が重なり、成人ICUでの臨床する機会を与えてもらいました。

 

コロナの状況でオーストラリア全体として外国人医師の流入が遅れ、
また救急集中治療領域での採用枠が増えたこともあって、

 

本当にラッキーでした。

 

障壁2:医師登録の制限

以前、こちらのサイトでも外国人がオーストラリアで臨床するためのパスウェイを紹介しました。

k-doc.hatenablog.com

私は当初、ショートタームトレーニングパスウェイと言って、

こちらの学会の容認のもと外国人医師が短期間トレーニングする目的でくるパスウェイで来ました(上記の記事では Short term training in a medical specialty pathwayと正式名称で表現しています)。

これは学会によって臨床可能期間に上限があるのですが、

ICUの場合は概ね2年、運が良ければ3年、と言われています。

 

前述の通り、コロナの影響で2年から3年に伸ばすところは学会はすんなりと承認してくれました。

ただ、3年目から4年目のところは「もう延長しない」と明言されたので、パスウェイを変更しないと私の4年目はないことになりました。

 

医師登録の変更

ショートタームからのパスウェイの変更にはいくつか方法がありましたが、私が可能性を探したのは

  1. 日本の専門医資格をオーストラリアのものに変更すること
  2. オーストラリアの正規の医師免許をとるルートに乗ること

でした。

 

 

  1. 日本の専門医資格をオーストラリアのものに変更する

    自分が有する専門医資格は小児科専門医と救急医専門医でした。今思えば集中治療専門医を取ってくるべきだったと思っています。

    日本の小児科専門医はオーストラリアの小児科専門医とプログラムが全く違い、コンバートがまず不可能です(小児科専門医を終えてさらにいろんな分野を専門的に研修した卒後15年目くらいならいけると思う)。なのでこれはパス。

    救急専門医で登録して集中治療を続けられるか不明だったのでこれもパス。ということで、この案は断念。

  2. オーストラリアの正規の医師免許をとるルートに乗ること

    つまり、それまではビザと学会と医師登録機構のみっつで自分の医療行為ができたところから、学会の縛りをなくそうというものです。

    やり方は簡単で、いわゆるオーストラリア版USMLEであるAMC: Australian Medical Council の試験を受けるということになります。この試験にはstep1 であるMCQと、step2であるオスキー試験がありますが、Step1をパスすれば、制度的には臨床業務が可能になります。

 

上記から、Step2を受けるつもりはない中でStep1のみ受験し、すっげえギリギリでパスして、無事4年目を迎えているのでした。

 

AMC MCQ対策

MCQに関しては、良い点数を取らなければならないものでもないので、気は楽でした。IELTSの方が苦しかった。

 

MCQの自分の勉強方法は、ひたすら過去問を繰り返す。です。これだけ。

専門の過去問集があるのですが、それをひたすら4周くらい繰り返しました。この間半年だったかな?コロナで延期があったので、それもラッキーでした。

落ちても後に響くものはないので痛くはないのですが、痛いのは出費で、

一回の受験料が日本円で25マン円くらいします(!!!)

 

結語

ということで、専門医なし、general registrationを最後までやり遂げずに4年目にオーストラリア臨床突入した経緯を紹介しましたが、

ここまできて思うのは、

  • 日本で専門医とる前なら最初からGeneral registrationをとるための準備をすること
  • 専門医取得後であれば、該当する専門医をしっかりとってから来ましょう

ってことで、決して私の経緯はおすすめできるものではありませんので、悪しからず!!

集中治療専門医とってきとけばよかったって、後悔しています!笑