成人ICU出向中のPICUが学びを備忘録的に記録していくシリーズ。
VVは小児となるとだいぶ少ないです。たぶん。アメリカとか知らないけど、年間1500入室みてる施設で3-5くらいが相場だと思います。
理由はあんまり考えたことないけど、
- そもそも小児のARDSって多くはない
- VV適応の症例でもVAにとりあえずのせてしまう
- 新生児症例はNICUに行けるので、そこでいろいろやってだめだったときにECMOだーじゃあPICUに移動だーってやってる間にVVにのせられるフェーズを失う
最後のところはおもしろくって、VVになれたNICUが日本にあるんですが、そこはそこそこVVまわしてるんですよね、カニュレーション戦略もなかなか独特だったと記憶していますが、
とりあえずここでは今日学んだことをとりあえずかきなぐっておきます。
VV ECMO患者の回診
1.まず確認すること
- 酸素供給は十分か
- CO2はコントロールされているか
- 呼吸器設定は適切か
- 肺保護戦略はまだ必要か
- 自発呼吸が許容できるか - 元の病気は治療されているか
- 体液バランスは適切か
- 患者関連合併症の有無
- ECMO関連合併症の有無
- ECMOをウィーニングできるか
- 全体のプランを確認
- ECMOはbridge to recovery/transplantか
- palliationは必要か
2.VV ECMOの酸素化を規定するもの
前提:酸素供給
DO2 = CaO2 x CO
CaO2 = (Hb x 1.39 x SaO2) + (0.003 x pO2)
- ELSO の推奨はDO2:VO2 > 3 →SvO2が25-30%SaO2より低い
- VV ECMOの血液流量は50-80ml/kg/minではじめることが推奨されている。
当施設では4-5L/minを保っている。 - SaO2>85%, PaO2 >55mmHgは通常許容される。
SpO2 75-80%も患者の酸素消費量や供給量により許容されることもある。 - Hb > 70g/Lを保つ。患者によって輸血閾値を変更することがある。
3.酸素化の改善が必要な場合
1)ECMOの流量を適正化する
- 脱血不良を改善する
- 輸液
- 筋弛緩
- 体位を変える - カニュレーション戦略を変える
脱血カニューレを追加する
2)酸素消費量を抑える
- 体温管理
- 筋弛緩
- (可能であれば)カテコラミン投与を減らす
- βブロッカーや低体温を苦慮する
3)V/Qミスマッチを改善する
- iNOやPGI2を投与する
4.CO2コントロールがなぜ大切か
- アシドーシスを改善する
- 呼吸ドライブを抑制し肺保護戦略を遂行する
5.どのようにCO2をコントロールするか
- スウィープガス流量を増やす
6.どのように肺の回復を適正化するか
- 病期の初期では、肺保護戦略が重要となる
- 一回換気量<6ml/kg
- 最大吸気圧<30cmH2O
- FIO2< 0.6
- 区動圧<15
- 深鎮静±筋弛緩 - 回復期に入り、コンプライアンスが改善してきたら自発呼吸を許容する
- 基礎疾患を治療する
- 体液バランス管理は厳格にする
7.患者関連合併症は
- Sepsis
- 出血
- カニューラサイトの診察
- 血小板減少
- DIC - 気胸
- 心タンポナーデ
- 脈圧の減少、CVP上昇、脱血不良 - 血栓(患者の)
- 神経学的合併症
- せん妄、意識障害、脳血管合併症 - 腎傷害
8.ECMO関連合併症は
- 脱血不良
- リサーキュレーション
- 患者は低酸素、膜前のSaO2は高い - 血栓
- ポンプ
- 人工肺
回路交換の目安
- 膜前膜後の圧差>10mmHg x ECMO flow(L/min)
(ECMO flowが3.8L/minだったら>38mmHg)
もしくは>50mmHg
- 膜後PaO2<200mmHg - 溶血
- 遊離Hb>0.1g/dL、ビリルビン上昇、LDH上昇、K上昇、黒色尿、CRRTバッグの赤色化 - 出血
- カニューラ、チューブ
9.いつ安全にVV ECMOからウィーニングできるか
- 原疾患の改善
- 肺コンプライアンス・レントゲン所見の改善
- スウィープガスを減らしても安定したCO2が得られること
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基礎的な事項の羅列になりました。
ECMOについては記事がふえそうだな