【雑感】帰国3ヶ月
とりあえず言いたい。
サックスが楽しい。
毎日はできてないけど、概ね毎日平日30分、休日や当直明けは1時間くらい。
とりあえず1冊基礎的なやつを一回通して終わり、練習のルーチンとしてスケール・ロングトーンから曲の練習という流れが出来始めて。初心者ならではの上昇カーブがうれしいす。
そのほか、仕事以外でやっていることは以下。
①自転車
片道15kmをいける時はできるだけ自転車で行き始めた。最初は1時間くらいかかっていたけど最近は少し早くなって45分くらいで着くようになった。ケツの痛みも無くなってきた。
最近はもっと速くと思って重いギアを頑張って踏むようにしてるから太もものいい筋トレにもなっている。
ヘルメットしてる人少ないですね。色々思ったんですが、そもそもとして自転車が安全に車道を走れないので、自転車で歩道を走ることが増え、結果的にスピード出ないしヘルメットの意義も薄くなるというところなんでしょう。歩行者のリスクと引き換えに。
自分の通勤ルートになっているところには歩道と分けて自転車用のレーンが作ってあるところもあるのだけど、これがまた問題なんです。
ガタガタすぎてスピード出ないしケツが痛い。幅はないのに両方向性にチャリが通り続ける。結果的にそこ使わない。
とりあえずできる限り車道を走りながら、事故には気をつけます。ヘルメットと、あとグローブを友達につけろと言われてつけてます。転んで手をついたら皮むけただけで手指衛生ができずに手技が何も出来んくなるからと。なるほど。見た目のガチ感は増しますが、合理性と予防は大事です。
②英会話
これがまた結構大変で。とりあえず自転車乗ってるときのpodcastは必須。プラスしてラジオビジネス英会話とCNNEnglish Expressをやれる時に。アメリカアクセントがすごく耳につくようになっていて、Rの発音がめちゃくちゃ気になる。Aussie Englishも時々やる。
維持できるのか。今のうちにIELTS受けようかと思ったけど、時間と金銭面からモチベーションは完全に落ちてしまった。
③筋トレ
Anytimeがあちこちに出来ているので重宝している。ただ、当たり前かもしれないけどオーストラリアのジムと比較するとめちゃくちゃ狭いし人口密度が高い。夕方とか最悪。
とりあえず1日1部位、45分程度で12−15セット、週4で回している。
時々通勤前に自転車で職場近くのジムまで行って(15kmバイク)で筋トレしてから勤務に臨むのだけど、テンションだけは朝高くて後はダダ下がりになっています。
帰国前まで半年増量していて、3月から減量中。こちらは順調に2kg/monthのペースで減ってきていて、あと2ヶ月くらい減量継続予定。自転車のおかげで嫌いな有酸素を楽しめてるのが要因。
④バスケ
これがなかなか難しくて、平日夜とか週末とか、なかなか難しくて行けてない。幸い院内にバスケサークルがあって、勤務後にそこいって一人でひたすら1時間くらいシューティングとドリブルワークしてる。帰る時間になったところでサークルの人が来はじめるのでゲームは出来ていない。
上記の通り仕事以外に色々新しいことを始めたので、生活をある程度楽しめている。あまり日本だからとかオーストラリアだからとかいうことを感じることは今のところはないし、幸い家族もオーストラリアに帰りたいとかいうこともなく新しい生活に馴染んでいる。日本食とコンビニとゲームセンターの存在が大きいですね。
肝心の仕事はどうかというと。
思うところはたくさんあるのだけど、全部は出さずに小出しにしているかんじです。
今のところの目標は周りを変えるというより「自分が変わらないこと」になっていて、
違和感があるところはその違和感を無くさないように記録したりユニットのマニュアルを変更しながら対応しています。
こんなに大人な対応はできてないけど、参考にしてます。
自分のアプローチとして全部が正しいとは思っていなくて、いわゆる「暗黙のルール」を無視して進めて後付けでマニュアルを変えているところもあり、あれは良くなかったなと一人で反省したりもしています。チームの皆さんに感謝しております。
よかったと思うのはある程度働き方が自由で、
平日の半休だったり、年休の取得だったり、オフクリニカルの時にやることなんかは、働きはじめる前に思っていたよりずっといい感じです。
これまで24時間勤務が続いていたのがシフト制に思ったより早期に変わったし、元々いるメンバーの働き方のintensityは日本人さながらで本当によく働くので、本当に助かっている。
良くも悪くも思っていたより自分がやってきたこと学んできたことって大きかったと感じており、継続的に変化をうみながらいいユニットになっていくのに貢献できればと思っています。
忘れられない勤務 ①Taking a sad day
このタイトル「豪州と日本の間で、、、」をつけてブログをやってみようと思ったとき、自分の豪州での臨床が終わったらどうなるだろうというのは、少し思っていた。
でも、まあこういうタイトルの方が見つけやすかったり、実際豪州臨床に関連して書いてきたことが多かったから、それでよかったとは思っている。ただ、こういった限定的なタイトルをつけるとある時に区切りが来るんだなということも、いま実感している。
今日が最終勤務でした。
2018年に豪州にきてから今まで途切れなく臨床をすることができて、それでいて学位や資格をとれたことは本当によかったと思う。
振り返ると、どの時点で「お開き」なってもおかしくなかった豪州生活ではあった。それだからこそ出会ってきた人たち、特に自分を「認めてくれた人」たちに感謝はしても仕切れない。挫かれまくった自尊心と、波に抗う反骨魂と、だめなもんはだめだという諦めを覚悟する瞬間が交互にかつ短時間に訪れたこの4年半を生き抜いた今、正直なところ「やりきった」感覚はあるし、自分を褒めたいという気持ちは抑えられない。
最終日だった今日、この4年半を全く反映せず労うかのように、朝の回診で立てた計画は問題なくすすみ、新入院はなく、夕回診はただの確認のみで終わり、回診を自分に任せきりにしたコンサルタントは「Happy day」と言いながら僕らにコーヒーをクロワッサンをご馳走しただけの一日を終えて帰っていった。
色々振り返りたいことがあるけど、今振り返ってみて「忘れられない勤務」というのがいくつかあるので紹介したい。一度に全部はできないので、とりあえず一つ。
最初に紹介したい「忘れられない勤務」は、実は「勤務できなかった勤務」である。
こちらにきてからもう3年が過ぎた時、その週の勤務は月曜から5日日勤と2日週末夜勤の予定だった。
だいぶ仕事もこなせていたし、シニアの仕事を任せられていて、記憶している限り月曜から木曜まですごく困った感じは記憶にない。コンサルタントは自分に回診をほとんど任せきりにしていて、それなりにうまくこなしていたと記憶している。
ただ木曜に夜にひどく疲れていて、そしてなぜか気持ちもすごく沈んでいた。多分少なくとも一人、その週に患者を亡くしていたと思う。家族に「明日仕事にいけないかもしれない」といって出来るだけ早めに床についたのだが、その「かもしれない」が現実になった。
金曜日の朝に起きた時、時間はいつもの勤務に行くときの時間だったので、寝坊したわけではなかった。ただ全く体が動かず、「今日は仕事にいくな」と体が拒否していた。
金曜日。まだ平日。人はいる。明日からの週末の夜は自分がインチャージ、責任者でオンコールになる。そこはいきたいし、譲れない。でも、今日仕事に行くとそのあと仕事に行けるようになるまでに複数日かかるだろうと感じた。
正直なところ、そんな感覚はそれまでもないわけではなかった。今の(精神)状況で勤務していいのか。でもそれまでは、そういうことが起こっても乗り切れていたし、なんとなく自分が許さなかった。
布団の中で覚めた頭の中をある言葉がよぎる。
「It's OK not to be OK」
OK, I'm not OK today.
7時になるのを待って、同日の責任者に電話をして、休むと伝えた。
理由はうまく言えなかった。「熱もない。咳も倦怠感もない。コロナは陰性。でも今日はいけない。明日はいくから休む」といったら、「わかった」といってくれて非コロナの病欠扱いになった。
その後もあまり眠れなかったけど、ゆっくり過ごして、その後の2夜勤は予定通りやって、そのあとも特に勤務は問題なかった。
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その空白の勤務のことを忘れない。あれをちゃんと休まなかったら、ここまで来れなかったとなってもおかしくなかったと思う。
1日の休日と、その後数年の勤務、それを天秤にかけようとすることさえばからしい。
あの時ちゃんと休んだ自分が、今ぱっと振り返った中でのMVPだ。
小児の集中治療というのは辛い現場である。こどもが病気になって最も苦しい時間帯を共にし、その後は忘れ去られることが多い。最も多くこどもの死に向き合い、その家族と会話し、悪い知らせ伝える役割を担う。こどもの死がわれわれの仕事の一部である。避けては通れない。
ただしその代償ももちろんある。
その代償に耐えきれない瞬間があっても、全くおかしいことではない。
適正がない、強さが足りない、言いたければいってればいい。われわれはつらい場所で働いている自覚がない人にむしろこの仕事を任せられるのか。
悲しくなってもいいと思うし、その悲しさで時々立ち上がれなくなっても、自分はいいと思う。ただその時はちゃんと現場を離れて、適切な対応をして、好きな現場に帰ってきて欲しい。そのまま離れることになるのは、個人の問題ではなく、PICUのシステムエラーである。
たった1日休むだけでリセットできた自分はまだラッキーだったとも言える。
だからこそ、臨床で常にProactiveであるように、自分や同僚の「管理」についてもProactiveでありたいし、そうでなければならないと自分に言い聞かせている。
日本に帰ったら「Sad day(仮)」を作りたいと思っている。悲しかったらちょっと休んだらいいんじゃ、みたいな感じ。それをやるには十分な人手がいるのは間違いないんだけど、それも含めて、そういうのができるのが「いい職場」であるなら、いい職場を作るための工夫を重ねないとな、とぼんやり考えている
【PICU教育】「小さいPICU」でのトレーニングは「大きいPICU」に異動する前段階になり得るのか
どうも僕です。
オーストラリアは季節が月で明確に区切られています。
春 9-11月
夏 12-2月
秋 3-5月
冬 6-8月
といった感じです。
日本は体感で、「もう秋だね」と言った感じですが、ここら辺もオーストラリアにいての違和感。
今10月も終わりに近づいて、夏も見えてくるかと言ったところではあるんですが、時々寒いです。
小さいPICUでの勤務開始
さて、8月から異動してきたPICUは8床で、心臓手術なし、ECLSなし、多発外傷なし、血液腫瘍を含めて移植医療がない小児病院です。それでも年間入室数は800を超えていて、ここら辺は集約化が効いているとも言えるし、ICU入室閾値が低いとも言えるかもしれません。
サイズとしては異動前の施設の3分の1程度で、上記の通り全体的な暴露量も重症度も低くなるので、これまでそれに触れてきた自分に対して異動にあたり元の上司や同僚からは「何かそこに行って学ぶことはあるのか」と心配されることがありました。
実際に日本でも、大きいサイズのユニットで働く前に小さいところで手始めに働いて、それから「アドバンストレーニング」としてECMOや心臓手術をするユニットに「ステップアップ」としてくる人もたくさんいます。
実際自分でも小さいユニットで働くことに対して、トレーニングとして疑う点はあったのですが、実際に3か月働いてみて、さまざまな発見と経験をさせてもらって今の印象は
小さい施設でのトレーニーとしての業務は、以前所属したビッグユニットでのそれよりも「難しい」ということです。
その理由を残しておきたいと思います。
ユニットのサイズの違いがもたらす変化
-
さまざまなリソースを考慮に入れる必要性
小さく、診療対象内容が限られるともちろんそれに対する準備はない、ということになります。わかりやすくいうと、ECMOはできないのでそれを避ける管理と必要になりそうな場合搬送可能な段階でのそのおオーガナイズと準備が必要になります。「これを試してみて、やっぱりだめだから、じゃあECMOしようか」ということができず、「これとこれをやって改善がなかったら余裕がある段階で搬送しよう」という判断が必要になります。
リソースという意味では人員もそうです。
医者のうちトレーニーの大半がICUのトレーニーではありません。救急、小児科のトレーニーが多く、救急のトレーニーのほとんどが超音波ガイドのライン手技等に精通がありません。なので侵襲的処置が必要になった場合にその場に勤務している人の中で最もシニアの人しか挿管やCV挿入ができないということが起こります。ましてや夜勤ではその人がオンコールに変わるので、そのフロアに侵襲的処置をできる人がいない、という状況があり得るのです。なので、それを考慮した対応が必要になっています。
看護師の経験も少ないことが多くなっています。毎日心臓手術の術後を見ていれば毎日ノルアドやアドレナリンを使いますが、General PICUの患者だけだとその数がかなり減ります。
敗血症のノルアドの使い方、調整の仕方など、明確な血圧の目標値を伝えた後、どうなったらどれくらい調整するのかを、具体的に伝えておかないとおかしなことになっていることがしばしばです。
上記の理由で、「重症度の割に気が抜けない」「必要以上に忙しく感じる」というのを実感しています。
-
トレーニーとしての仕事内容
上記の通り、人員が少なくなる分、大きいユニットに比較してトレーニーが判断を迫られる機会が多いと感じています。臨床に限らずベッド調整などの事務的もしくは臨床とは違った部分の調整での判断を迫られることも少なくなく、言ってしまえば「医学的以外のことを考慮した判断を求められる」ことがあり、それが臨床業務をより複雑にしています。
家族といわゆる「難しい会話」をする機会もその分増えますのでその準備も必要と感じています。
まとめ:小さいユニットで働くことは「難しい」
上記の理由から、トレーニーとしては「よりアドバンスト」なトレーニングに感じています。また、これまで比較的大きいユニットばかりで働いていた自分にとってはすごくいい経験になっていると思います。
医学的なところだけでなくシステム、教育、医療安全、コミュニケーション等も要求される今の職場にある意味で充実感を覚える一方で、ICUに精通した経験やスキルがなく精神的なストレスが膨大している他のトレーニーに対してはケアをしていかないといけないですし、システムとして変える必要があるところを優先順位をつけて上に問題提起していかないといけないと思っています。
上記から、必ずしも小さいユニットでのトレーニングは大きいユニットで働く前段階になるとは限りません。小さいユニットで重症度の低い患者を管理することがより簡単な仕事とはならないからです。
もちろん、PICUトレーニーの全員がビッグユニットからトレーニングを開始する機会があるわけではありません。
どこにいても学ぶことはありますし、また雇う側からすると、各個人のトレーニング段階・スキルセットに応じたサポートと、明確なトレーニング目標が重要だなということを改めて感じています。
【AMC clinical】受験までの経過のまとめと、オーストラリアに残りたい人に向けて
前半はコチラ
後半はコチラ
1. さよならAMC
前回までに書けてなかったことも含めて、まとめると以下です。
- 準備期間は2021年10月から2022年4月の6ヶ月間
- 勉強時間は800時間
- やったことは
- 対策コース12週間とその教材
- Handbook 2周
- Recall
- 過去問集の産婦人科と精神科(Karen's note) - 模試は直前に2回受験、いずれも合格基準には達していない
- 結果;惜しくもなくFail(7/14, 10/14が合格ライン)
- 総計費用;11,771AUD (日本円で100万超かな今のレートで)
振り返るとその
- 時間
- 精神的ストレス
- 経済的支出
全てが苦い思い出になってしまいました。
他に方法はなかったのか、、
2. オーストラリアのGeneral registrationを取るための方法その2
そもそも論としては私がAMC clinical を受験した理由は、
- General registrationをとるためではなく(あわよくば、と言う気持ちはあったけど)
- 家族の理由で6ヶ月の臨床期間を伸ばしたかっただけ
なんです。ただ、そのために受験する事実が必要で、さらにまあせっかく受けるんだったら合格したらいいなという感じでした。
もし本当にGeneral registrationが欲しい方でこの試験を受けないで済む方法は、Workplace Base Assessment(WBA
https://www.amc.org.au/assessment/faqs/workplace-based-assessment-standard-pathway-faqs/
)に申し込む方法があります。
これは承認を受けた限られた病院で臨床をして、その間にAMC clinicalの試験に準じたことをやりながら評価を受けて、AMC clinical pass equivalentになると言う方法です。
ただこのWBA、かなりその病院と枠が限られていて順番待ちがあります。もちろんそれもすり抜けて待ちなしでそのプログラムに入っていく方法があるのですが、それにはある程度オーストラリアで働いている必要がありそうです(自分は今の施設でWBAが可能で、上司からWBAやりたいならできるからいいなさいと言われている)。
日本で専門医をとっているなら、その学会のアセスメントを受けて、そのトレーニングプログラムに入って専門医をとってしまった方が、個人的にはいいんじゃないかなと思います。
私の場合は集中治療専門医取得前に渡豪したため、こちらの学会のプログラムに入ることができなかったんですよね、
なので、もし自分が本当にオーストラリアに残りたいなら、
- AMC clinicalをパスするかWBAのプログラムを修了して、General registrationを取る
- 日本の集中治療専門医をとり、オーストラリアニュージーランドの小児集中治療専門医をとり、医師登録する
と言う二択になります。
1の場合はgeneral registrationをとってからも1年のローテーション、そしてその後やっと学会のトレーニングパスウェイに乗ってそれからトレーニングが複数年と長い道のりになってしますので、やはりあまり気乗りしません。
2の方が、自分の専門だけ勉強できるし、時間も短い。
なので、とりあえず帰国してから日本の集中治療専門医とって、もし豪州に帰ってきたくなったらその際にまた帰って来ればいいかなくらいの認識です。(その場合にそんなに言うほどスムーズにいくかは不明)
とりあえず私が言いたいことは、
海外行くなら、取れる専門医は取ってからいけ
です。
人生どうなるかわからんですからね。
そのままいつきたくなるかもしれないし。今の自分は帰国が待ち遠しいけど。
++++++++++++++++++++++++++++++++
とりあえず、今回で不合格体験記は終了です。
自分の備忘録と、今後受験をする方の参考になればと思います。
さて、本業に戻るかね
【AMC clinical】受験準備開始から受験までの流れとやったこと[後半]
前半はこちら。受験日が決定したところまででした。
1. 勉強のリソース
受験日が決定したあたりから勉強の幅を増やしていきました。ここで一旦、どんな勉強材料があるかを紹介しておきます。
実は、AMCのホームページにはこんなので勉強しなさいよ、っていうのが掲載されています。
Suggested reading material for examination preparation
ただご覧の通り、clinicalに関しては結構曖昧で、
全部やると砂漠の中を歩いているみたいになりそうだったので、いろんな情報を元にやった感じでした。
予備校の資料
これは対策コースでやっていたものです。授業で扱ったスライドがそのままオンラインでダウンロードできるので、それを資料として勉強するという感じ。
リコール
いわゆる、受験者の情報をもとに有志が構成した過去問集。受験者たちの記憶を元に作られる「リコール」です。
これがたくさんあって、分野ごとに全てを網羅してまとめた強者は過去に何人かおり、その人の名前がついた過去問集がネットに落ちています(Karen's noteとか、Marwanとか言われる)。
対策コースに行かない人は大概これでやるらしい。大体1000問くらいある。
handbook
これはAMCが販売している過去問集です。
こちらが参考。
これがなんとまあ10年くらいアップデートされていないらしい。それでも解説が載っているから、なんとなくどんなことが試験で求められているかがわかるということで、1回は必ずやれ、ということを言われます。
ただこの過去問集、すごいページ数で一回やった程度ではとても覚えきれない。
「これはHandbook caseだね」って誰かと勉強している時に言われても、
「は?まじ?」
くらいのリアクションを最後まで自分はしていました。
「これはhandbookの●●ページの問題だね」
くらい言えるようになると合格はかなり近そうです。
教科書
特に重要な教科書は2つ。
Murtagh とTalley and O'Connor's
両方ともよく書かれた教科書です。
Murtagh
これははGPの成書版のほか、handbook版、患者説明、診断と色々とバリエーションがあり、それぞれ読んでておもしろかったです。
正直、時間があればこれで1から勉強したいなと思えるくらい。
Tally and O `Connor's
身体診察の教科書の王道的位置づけで、写真もそこそこついてるし、詳細が素晴らしいので、これ通りに一応身体診察はやればいいということにはなっている。ただ、本番で全てやろうとすると時間がなくなるので、考え物ではある。
Talley and O'Connor's Clinical Examination - 2- Volume Ser - 9th Edition
Youtube
このご時世これを使わない手はないですね。
ランダムにも使えますが、自分が好きだったのはこの二つ。
①Geeky Medics
https://www.youtube.com/c/Geekymedics
イギリスの医学生たちが中心で立ち上げたサイトのYoutube 版。ブログには関連する事項が詳細に書かれており、そちらも参考になる。
短い時間で身体診察の流れを実際に見せてくれるのが魅力。
時々too shortなので、付け足しが必要であることもあるけど、よくまとまっている。
②Physiotutors
https://www.youtube.com/c/Physiotutors
こちらは理学療法士のサイト。
特に四肢関節系の身体診察が豊富でしかもエビデンスまでつけてくる。
診察の詳細を抑えたいとき、もしくは大まかなところを見るのにも適している。
Study partner
たぶんこれが一番大事な気がする。
要は勉強仲間を作って、お互いに問題を出し合ってやっていくって感じ。
自分のカバーしていないところをカバーできるし、
相手から学ぶことができる。
実は自分はこれがあんまりできなかったんです。
パートナーはいたんですが、お互いの時間が合わずコミットできなかった。
そのパートナーは複数人他のパートナーとやっててコンスタントにできてたみたいで、
そいつは合格しました(おめでとう!)
繰り返し、これは必須だと思います。なかなか働きながらだと難しいところはありますが、
ぜひ良い勉強仲間を見つけてそれを継続してください。
めっちゃ大事です。
自分の場合は家族を一番使いました(妻をひたすら診察しまくった)。
でもまあやっぱり同じ試験を受験する予定が相手の方が色々フィードバックもあっていいですよね。
自分の勉強した内容は以上の通りです。
直前に模試を受けましたが、これはこれでなんとなく役にはたった気はします。
たいてい直近に出た問題とか分野を中心にやってくれるので。
まあ、いくら行っても結局は落ちたやつの言うことなのでアレなんですが、
これだと足りなかったよって受け取ってもらえるといいかなと思います。
【AMC clinical】受験準備開始から受験までの流れとやったこと [前半]
前回AMCの実際の試験の内容を紹介しました。
今回は、実際に試験準備から試験までの経緯を紹介し、
こうやったら落ちたよ、っていうのをシェアしようと思います。
この試験はトリッキーな試験ではありますが、きちんと準備したら合格するものと思っています。
1. 時間経過
こちらが自分が受験準備開始から試験に至るまでの経緯です。
2021年10月 受験を決める
2021年10月中旬〜2022年1月 ARIMGSASという大手AMC対策講座の一つのオンライン対策コースの受講開始
その間追加の半日〜3日コースを計5−6個受講
2021年12月 AMC clinical の受験日決定。2022年3月末のFace to Faceになる。
2022年2月 AMC clinicalの受験日延期が決定。2022年4月末になる。
2022年4月 直前の1週間コースを受講し、Face to faceの模擬試験を2回受講。
2022年4月末 受験
2022年5月 結果発表。
という感じです。
2. 準備コースの受講
いくつか準備コースがあって、自分の周りでメジャーだったのはARIMGSAS(通称アランロバーツ)とHealでした。
ARIMGSAS - Prepares IMGs for AMC MCQ/Clinical exams-CPD Points
Healの方が知っている人たちで受講者は多かったのですが、
当時コロナの影響でHealの講座は中止になっており、オンラインに切り替えていてしかもちょうど自分の日程とあったのがARIMGSASだったのでそちらにしました。
12週間のAfter hoursコースというやつで、平日の夜8時から2時間と、週末土日に6時間ずつという内容でした。
費用は4300AUDくらい。40万円くらいです。高いでしょ。
このコースの合う合わないがまずは効いてきます。
たいていこういったコースの講師陣というのは受験直後の合格者たちが多く、その人たちがバイトとしてやっていることが多いみたいです。
その中にはカリスマ講師的な存在ももちろんいて、長期に教えていて上手な人は上手なんですが、
ダメな人はやっぱりダメなんです。
自分の場合は明らかに産婦と精神科の知識が足りず(最終的にもここのスコアが全然取れなかった)、ここをしっかり抑えたかったのだけれど、
アランロバーツの産婦精神科の講師と人間的に合わなかったは痛かった。
人間的にもスキル的にも優れた講師がいて、その人には最後の最後まで世話になりました。
合格できずに申し訳ない、、、
3. 勉強時間
勉強時間はログをつけていたので、大体こんな感じでした。色分けがありますが、全てAMC対策の時間です。
二月に明らかな落ち込みがあります。これはシフトの変化と大学院の影響でした。
トータルで800時間程度でした。目標は1000時間だったんですが。
フルタイムで働きながらだと、月100時間前後、これくらいが妥当かなという印象でした。
これでもかなり家族には犠牲を払ってもらっていたので。申し訳ない。
この試験、勉強時間だけでどれくらいやればというのはなかなか言い難いなと思いました。
理由はいくつかあるのですが、
1、オーストラリアの制度を知っていると有利
2、ある分野の専門家は有利(内科、救急、オーストラリアで働いているGP、小児科、産婦、精神)
です。
つまり、必要な勉強時間は、受験生のバックグラウンドに大きく異なります。
例えば自分の場合、小児の勉強に割いた時間は一番少ないのですが、
出題された小児分野は全てPassでした。
精神科、産婦人科領域は出題数も多いので、そこをバックグラウンドにやっている人がうらやましかったのは事実です。
また、同じコースの受講生にいたGPが、オーストラリアの制度に詳しかったのも印象的でした。
有利に働くのは、
- オーストラリアでの臨床経験
- 幅広い疾患をみる機会 or 精神科 or 産婦人科の知識が豊富
かなあと、個人的には思いました。
4. 試験申し込みと受験日の決定
これが難しくて面倒でした。
特に私の時はコロナで試験がキャンセルにした後だったので、
受験さえできずに待っていた人たちがたくさんいました。
そうでなくても、コロナの前から試験の予約開始の日は
- 朝からコンピュータやデバイスを複数台準備し、
- 時間になったらひたすらログインを試みて、
- そしてたいていサーバーが落ちて、
- 復旧をひたすら待ち、
- 復旧したタイミングで再び予約を試み、
- 再度サーバーが落ちて、
- 気づいた時にはもう席が空いていない・・・
ということも友人には起きていました。
私も朝から3台のデバイスと家族と友人を動員、
サーバーが落ちるのと復旧するのを繰り返しながらどうにか予約ゲットにこじつけました。
・・・まあそれでも結局日程変わってしまったんですが
ただ、とれなかった人たちもいるなかで、
受験できるということができたのはラッキーでした(ただまあ個人的にはのちのち受験自体が不要になってしまったので余計なお金と時間を費やしたのは事実)。
受講金額は3500 AUD。
先ほどの試験準備コースと合わせてすでに8000AUDに達しているという非情ぶり。
この膨大な時間とお金が無駄になった…と思うとなかなか気分が上がらないところではありますが、
この期間にいろいろと学びもあったので、
高校のときの校長の言葉だった
「姑息な無駄は無駄になり、壮大な無駄は財産になる」
という言葉を胸に馳せつつ、姑息ではなかった思いたい、なあ。
それにしても姑息であったと認めざるを得ない部分は、多々ある。
残念ながら。
後半では試験直前にやったことと結局費やした費用を紹介します。自分でまだ計算してもない。恐ろしや。
【AMC clinical】AMC clinical の実際の問題
参考までに、自分が受験した時の問題16問を掲載しておきます。
全て記憶頼りなので、正確性には乏しいですが、雰囲気が伝わればいいなと
16問中、2問はスコアの対象にならないパイロット問題で、14問中10問パスで合格です。
どれがパイロットかはやっている時は不明。
各問題1-7点でスコアされ、4点でその問題はパスです。採点基準は明確にはなっておらず、キーワードをどれくらい抑えたか、クリティカルなミスをしていないか、でスコアされるということに一応なっています。
- 30 yo Marathon runner with foot pain
- perform relevant physical examination
- diagnosis/differentials and reasons - Phone call from midwife looking after 28yo pregnant lady labouring for 9 hours
- history taking and ask for relevant physical exam from Nurse
- give diagnosis and plan with reasons - 30yo known to have bipolar disorder on lithium, about to travel.
- History taking
- give travel advice related to bipolar disorder - 25yo seeking re-prescription for tamazepam
- take history
- management - Father of 4yo girl with asthma, seeking advice for flu shot
- take history
- answer his question - Abdominal pain 30yo
- take history
- give diagnosis and differentials with reasons - 48yo man with tremor, concerning Parkinson’s disease
- perform a relevant physical examination
- give diagnosis and differentials with reasons - Pregnant 37weeks lady, came to you for routine checkup
- perform physical examination
- management - 24 yo woman, vaginal bleeding
- take history
- give diagnosis and differentials with reasons - 28 yo lady, 6 weeks post delivery, nipple crackle and tiredness
- history taking
- give diagnosis and differentials with reasons - 35yo lady PI bleeding, Hb 55, Jehovah's witness
- History taking
- give diagnosis and management - 18 yo boy, had a "funny turn"
- history taking
- give diagnosis and differentials with reasons - Mum of 16 yo girl who had loss of consciousness after running under hot and humid weather
- history taking from Mum
- give diagnosis and differentials with reasons - 60yo man known to have COPD, came with swollen leg
- take history
- give diagnosis and differentials with reasons - Mum worried about her 9 mo baby as he is not sitting up as the other babies
- take history
- give diagnosis and differentials with reasons - 30yo worried about STI
- perform a genital examination
- give management and plan
ほら、もう小児集中治療の知識とスキルはほとんど役にたたんつたいね